過去の自作小説「標的」

参項文献:外務省ホームページ

[主な登場人物]
大統領補佐官: ピアス・ウォルポール
CIAロシア局チーフ: ジェイムズ・レイク
CIAアナリスト: ロバート・ウィリアムズ
国務副長官: パトリック・ヒューズ
統合参謀議長: フェリーズ将軍

CIAエージェント: ボブ・スパン
CIAエージェント・タタール人: ディーノ・クーリッジ

北朝鮮工作員: 名前なし
         : ノ・サンユ

 

 

ポト…ポト…ポト…。水の滴る音がする。

耳をすますと水が微かに流れる音も聞こえる。ちろちろちろ…。

どこか鳥の声にも似ている。祖国にもいたし、東京でもみかけたし、バンコックでも見かけた茶色い鳥だ。NYにもいるのだろうか。


眠らなくてはいけない。

将軍様、私にお任せください。世界をあっ!と言わせてやりますよ」


NY、チャイナタウンの一角で、男は地下組織に匿われていた。

香港を出とした麻薬シンジゲートだが、80年代中頃からアメリカにも進出している。

男はシンジゲートにとって大事な取引相手でもあった。男が何者かについてはシンジゲート側にとってはどうでもよい事でもあった。

 

その頃、真夏の灼熱の中央アジアウズベキスタンの首都タシケントでは、世界を揺るがしかねない、取引が行なわれていた。


イスラム原理主義反政府組織のアジトで、それは行なわれた。

観光者なら誰でもが持ち歩くようなデイ・バッグに納められ、その中は3重構造になっており、バッグの中間部に固定されていた。

これだけの量があれば、どれだけの人間を致死せる事が可能か、その北朝鮮工作員にも分からなかった。ただ数千という数でない事くらいは明白であった。


ウズベキスタン内のイスラム原理主義反政府組織が、アフリカ北部のイスラム原理主義組織から、ある生物兵器を手に入れたという情報は、すでにCIAは押さえていた。

その二週間後、ウズベキスタン当局から、以前からマークしている中国籍の男がカザフスタンから入国した情報が、ウズベキスタン内のCIAエージェントに伝えられていた。そういう情報がCIAにもたされるようになったのは、親米派ウズベキスタン大統領が就任してからの事だ。

非公式に、中国当局にただしてみても、知らぬ存ぜぬの一点張りだが、その男が北朝鮮工作員である事は、CIAも、そしてKGBも掴んでいた。

 

ワシントン郊外のヴァージニア州アーリントンの、とある地下に緊急的にメンバーが召集されていた。

大統領直下の危機管理室のオペレーティング・ルームには、大統領補佐官をはじめ、生え抜きのアナリストから、CIAロシア局のチーフ、国務副長官、ペンタゴンからも軍参謀などが顔を突き合わせていた。


「北の照準はどこだ?」

ビアス大統領補佐官が咳を切った。

ロバート・ウィリアムズCIAアナリストが答える。

「現段階で考えうる上位3箇所は、1、アメリカ。2、日本。3、世界各国の米軍基地です。付けたしますと4の韓国という可能性はほとんどありません」

誰の表情からも緊張が走る。

判ってはいても、具体的に言葉として表出した時、人というのはイメージを共有する事になる。

それは恐怖でもあり、身体的にも冷や汗というものが噴出する瞬間でもある。


「国名だけでどうするんだ? もっと狭めろ」

「はい。わが国内では、狭めるのは現段階では困難です。我々のダメージをどこまで狙っているのか定かではありません」

フェリーズ将軍がちょっと待てと手を胸にかざす。

「時間的に最も危険なのはウズベキスタン領内の米軍基地です」

「そこが狙いだと?」

全員が顔を横に振る。


「至急大統領と国務長官、国防長官に知らせよう」

大統領は現在イギリス訪問中で、国務長官はA.S.E.A.N.拡大外相会議に出席していた。

「フェリーズ将軍、ウズベキスタン領内の米軍と、隣接する国家領内の米軍基地に緊急体制を敷こう」

「分かりました」

緊急体制は即刻ペンタゴンに知らされ、各米軍基地へと伝達された。


「フェリーズ将軍、日本はどうだろう?」

「はい。やはり照準は米軍基地という事になります。沖縄、横田などです」

CIAロシア局チーフのジェイムズ・レイクがそれに付け足す。

「補佐官。日本の米軍基地では日本人が働いています。我々から見て、日本人と北朝鮮人を見分けるのは極めて困難です」

「すぐに国務省から日本のアメリカ大使館と首相官邸に知らせろ。ペンタゴンからは日本の全ての米軍基地へ、15時間後から警備を強化するよう知らせるんだ」

補佐官はパトリック・ヒューズ国務副長官へ視線を飛ばす。

「パトリック、全米航空局、移民局、そして国境警備隊FBIにも20時間後から緊急体制を準備するよう命じてくれ。将軍、全ての軍事施設も同様だ。ジェイムズ、ウズベキスタンではその工作員に我々は付いているんだな?」

「はい、補佐官。2名付いております。一人はタタール人ですが信用はできます」


続け様、補佐官はフェリーズ将軍を食い入るように見ながら、声を発した。

「フェリーズ将軍、これはピンポイント爆撃は可能ですか?」

「もちろん、可能です。イラク戦争で示したとおりですが」


「ジェイムズ、ウズベキスタン大統領と、ロシアはなんと言っている」

「はい。どちらもウズベキスタン領内では困ると…」

「なぜロシアが困るんだ? パトリック、君の部下に、アメリカ大使館経由で、ロシアとウズベキスタン大統領の説得にあたるよう指示してくれ」

「はい」


「フェリーズ将軍、我々はもうひとつ考えないといけない。原子力空母艦カールビンソンは今どこです?」

「グアムです」

「よし、日本海に出航させるか、大統領に了解をとろう。パトリック、大統領に連絡を」

「はい」


「フェリーズ将軍、ウズベキスタンにはわが軍の特殊部隊は配属されていますか?」

「いや。特殊部隊はアフガニスタン領内です」

「タスク・フォースをウズベキスタンに呼ぶ事は可能ですか?」

キルギス側に向かっているのであれば、間に合うでしょう。キルギスのマナス空港はアフガニスタン攻撃以来、わが軍の使用許可が下りています。キルギスには現在、2千人規模のわが軍が駐留しております」


一刻を争う問題で、ビアス大統領補佐官は決断を強いられていた。

「ジェイムズ、その北の工作員は現在もキルギス側に向かっているんだな」

「はい」


アナリストのロバートが一言添えた。

「ちなみに、キルギス国境を警備しているのは、ロシア国境警備隊です」

「…そこは協力してもらおう。パトリック、ロシア大使館に再度当ってくれ」


フェリーズ将軍も口を開いた。

大統領補佐官、…中国国境内に入り込まれたらアウトです。…決断を」

「将軍、…ウズベキスタン領内のわが軍で阻止は出来ないか?」

「…ブツがブツだけに、ここは特殊部隊が担当した方がいいでしょう。万が一の時の被害は、国際問題になるだけでなく、その犠牲は計り知れないものになります」


「よし、分かった。タスク・フォースをキルギスのマナス空港へ送ろう。大統領の了解は私が得よう。将軍、国防長官に連絡を。パトリックの電話が終わったら、彼にキルギス大統領とロシアへの通告を頼む」

 

「ロバート、現在のカザフスタンと中国の関係は以前より密接だな、ここは説得できるか?」

「えぇ。中国との関係は確かに以前より密接ですが、わが国はカザフスタンにとって大事な援助国です」

「押せばなんとかなるのか?」

フェリーズ将軍が手をかざす。

「97年、98年に、わが軍と中央アジアコーカサスの一部諸国の軍隊と合同で、中央アジア合同軍事演習を実施しております」

「将軍、…申し訳ないが、そのデータは古すぎる」

フェリーズ将軍が柄にもなく、下を向いた。


ロバートが会話を受け取る。

「問題はロシアです。カザフスタン領内には現在もロシア軍が駐留しております。しかし交渉次第では、我々の側にもカードはあるはずです」

「分かった」

「パトリック、カザフスタン国境警備隊にも協力を求めよう。ロシアは何と言っている?」

キルギスの件は了解が取れました。ロシアの国境警備隊の協力もOKです」


「随分と簡単に呑んだな。条件付きか?」

そう言いながらピアス大統領補佐官はウインクをしてから、犬がするようにブルルルルルッと唇を鳴らした。

皆も一斉に顔が緩み、その後、苦笑いの表情が覆った。

会議が始まってから初めての緊張緩和の瞬間だった。


パトリック国務副長官がイギリスの有名コメディアンの声真似で
「はい、その通りです。ロシアの要求は、イラクの石油利権の20%、及び、フセイン政権に借款していた全額の補償と言っています。また、ロシア軍の協力は惜しまないとの事です」


「これは大統領に叱られそうだな」

全員が吹き出した。


ブザーが鳴り、タイミングのよい事に、大統領からホット・ラインが入る。

オペレーティング・ルーム内に緊張が再び走る。

「よし、大統領の許可が下りた。フェリーズ将軍、原子力空母艦カールビンソンを日本海へ出航させよう」

 


ノ・サンユは国連本部ビル横の階段で、レーズン・ブレッドを頬張っていた。

「ったく!かてぇパンだ。味も素っ気もねー。まぁ祖国のパンよりはマシかもしれねぇな」

独り含み笑いをしながら、国連本部ビルを見上げた。

将軍様…見てて下さいよ。我々を侮ってはならぬ事を証明してみせます”


ビルの陰から、その様子を覗うアジア系の二人組みがいた。

ブルックリンなどに住む中国人と変わらぬ服装だったが、一般市民と明らかに違うのはその目つきだ。マフィアとも匂いが違う。


その頃、北朝鮮では書記長の耳に驚くべき情報が特殊工作部から持たされていた。

書記長の判断は、即、ノ・サンユ等2名を処刑せよ。というものであった。ただちにアメリカ、カザフスタン、ロシアに潜伏する北朝鮮工作員へ通達がなされた。

アメリカ情報部は、その通信の傍受に成功していた。

 

灼熱のウズベキスタンでは、二人のCIAエージェントが男を追っていた。

ベテランのボブ・スパンと、タタール人のディーノ・クーリッジだ。

ディーノの容姿は一見、トルコ系だ。サッカー選手のように長髪をヘアバンドで結んでいた。


元々タタール人は、中央アジアを自由に遊牧する民であった。

しかし、その歴史は紀元前から東西南北が交わり戦いを繰り広げる場でもあった。

ペルシャ、モンゴル、ティムール、ロシアといった大国に蹂躙され続けた。

その後、ソ連邦からは解放されたが、独立したどの国へ行ってもタタール人はマイノリティーであった。


「おい!Uターンするぞ」

ボブが声が上げる。

「分かってますって。逃がしませんよ」

ディーノはCIAにスカウトされてから、これが初めての大きなヤマになるが、落ち着いていた。


傍受の心配のないエージェント用携帯電話で、スムースにアメリカの危機管理オペレーティング・ルームに繋がる。

「ボス。奴はなぜだか、北に進路を変えました」

ロシア局チーフのジェイムズが答える。

「分かった」


アナリストのロバートが呟く。

カザフスタンに入り込まれたら、危険です。あそこは人口の0.5%が韓国・朝鮮人です」


フェリーズ将軍の顔が蒼ざめた。

「補佐官、申し訳ございません。私の読みが・・・」


「いや、決断したのは私だ」

皆が大画面モニターを睨む。そこには中央アジアの地図が律していた。


「タスク・フォースは間に合わんな。ジェイムズ、あの二人に任せるしかない。将軍、ウズベキスタン領内のわが軍をカザフスタン国境に張りつけよう。カザフスタンへ繋がる道路を全て封鎖する。パトリック、ウズベキスタン大統領へ許可をとれ」

「許可をとれなかった場合は?」

北の工作員を捕りおさえる事が出来なかった場合、その後の惨劇の被害の責任を、負う気があるのかを正せ」

「はい」

「それと、ウズベキスタン領空を米空軍が侵す可能性もある事も付け加えろ」

「了解」


”間に合うだろうか・・・” 誰の胸にも不安と緊張が過った。


ジェイムズが呼びかける。

「ボブ、北は追尾に気付いているか?」


「どうやら、最初から気付いていたようですね」

「ボブ、…タスク・フォースの応援はもう望めない。お前達で仕留めるしかない」

「最初からそのつもりですよ、おいおい」

ディーノが運転しながら携帯電話をボブから取り上げた。

「ボス、ディーノです。爆破させちまっていいんですか?」

その時ブシュという音と共に、フロントガラスに亀裂が走った。

車は悲鳴を上げ、何度かスピンし噴煙を上げながら、道隅でやっと止まった。

ディーノを見上げると、額を撃たれ即死している事は明らかだった。


”くそったれがぁ!”


携帯電話は「ボブ!ボブ!何があった」と喚いていたが、ボブにはもう聞こえなかった。

息をしないディーノを助手席に移し、奴を追った。


3分も走ると、奴の車が見えてきた。

ボブは自分でも気付かぬうちに拳銃を取り出していた。

射程距離に入った時、窓から身を乗り出し、後輪をめがけて4発撃ったが、どれも外れた。


汗が目に入り凍みたが、気を集中させた。身を乗り出すと奴との距離が遠のいてしまう。焦る気持ちを抑え、アクセルを踏み続けた。

”今度こそ”


ディーノはボブがスカウトした男だった。少々短気だが頭脳と度胸は、ずば抜けていた。

ディーノは天涯孤独の男だった。ハンサムで気は優しくナイス・ガイだった。

涙で前が見えやしねぇ・・・


もう一度集中した。

左の後輪に命中した。

奴のスピードが落ちた瞬間、一気に抜き去り、車ごと体当たりをして止めた。


奴はデイ・バッグを左肩にかけ、右手で拳銃を向けながら降りてきた。

ボブは車を降りた時に、初めて自分の左足が負傷している事に気が付いた。

”チッ…”


お互いに拳銃を向け合いながら、3メートルの距離で向き合った。

「いつもいつも邪魔しやがって、このアメリカ野郎がっ!」


「その荷物を置け」

「うるせーっ! 俺に命令するんじゃねー!なんでも1番がいいんだろう?許せねぇんだよ、そういう精神が」


”くそっ、左足に力が入らねぇ”

「お前はその生物兵器で、何をしようとした?」

「コレか。教えてやろうか。国連でのイラク復興会議でバラまいてやろうとしたんだよっ」

「なぜだ?」

「あっ? なぜだ?簡単さ。俺達は今でも戦争中って事さ」


「世界を相手にか・・・お前達から世界に入ってくればいいじゃないか」


「ふざけるな…あんた達の資本主義にまみれた世界などに入りたかぁねぇよ」

「お前は世界を見てきたんだろ?お前の国の将軍の言う事が正しいのか?独裁だろ?」

「俺は北で生まれて、北の教育を受け、あんたら帝国主義者を憎んでいるだけさ…」


「憎しみからなんてなぁ…なぁんも生まれねぇんだよ」


「仲間を殺されてもか?」

ディーノの笑顔が脳裏を掠めた。よく笑う男だった…どれほどの悲しい子供時代があったのかすら想像を絶するのにだ。…


「俺の使命はな、…お前を生きたまま捕らえて国際裁判にかける事だ」

「このバカタレがっ!アメリカの正義論など聞き飽きたぜ。綺麗事ばっかヌカしてんじゃねー」男が引き金を引いた。


膝まづいていた。腹が無性に熱かった。

”イツッ…” これまで経験した事のない鋭角的な痛みだった。”逃がすわけにはいかねぇんだよ…” ボブは最後の力で奴の背中に発砲した。


ドスっ・・・奴の倒れた音を最後に、何も聞こえなくなった・・・

 


NY・チャイナタウンの雑居ビルの部屋に、数名の男達が忍び込んだ。

一人は監視の為、ドアを背に立っている。

標的の男は熟睡しているようだ。静かにアイスピックを首筋に注入した。

帰り際、男達はメモを残した。

そのメモにはこう書かれていた。”これ以上、派手な真似をしたなら、組織ごと叩き潰す。死体はハドソン川に投げ捨てろ。中国 中央調査部”

 

NYの高層ビル群のひとつに、ビアス大統領補佐官の通常の仕事部屋があった。

ジェイムズCIAロシア局チーフは、そのドアを叩いた。


「やぁ!ジェイムズ、さぁ入ってくれ」

「失礼します」

「コーヒーがいいかい?いや、…ブランデーにしよう。いいだろ」

「はい。ありがとうございます」


固めのソファーに座ると、目の前の本棚に補佐官に似た人物の写真が立て掛けられていた。

「弟だよ」

「あっ、弟様で」

「あの忌まわしい、セプテンバー・イレヴンで、弟は死んだ。まだ37歳だった…」

「そうだったんですか・・・」


「君こそ、…大事な部下を二人も失わさせてしまって、本当にすまなかった・・・」

「いえ…、補佐官のせいではありませんよ」

 

二人は窓辺へ移動した。

「かつては、ここからツイン・タワーが望めた。・・・我々アメリカ人ってのは、憎まれているようだ」

「そうですね…」

「それに、ここアメリカは様々なものをかかえすぎてるな」

「その上、世界中にわが国の軍隊が…」


「今日はどうしたんだ?ジェイムズ…」

「はい。…私はCIAを退職します」


「そっか・・・君のような有能な人間がまた一人減るか・・・なぜだ?」

「わかりません・・・」

「・・・そっか・・・」

「はい…」


「フェリーズ将軍も勇退した」

「そうなんですか…」


「ジェイムズ、…アメリカ合衆国憲法の前文を覚えているか?」

「はい。・・・われら合衆国の人民は、正義を樹立し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、・・・でしたか」

「だいぶ省略されたが、そんな所だ」


その二日後、アメリカ空軍により、ウズベキスタン内のイスラム原理主義反政府組織のアジトと、アフリカ北部のイスラム原理主義組織への爆撃がなされた。

 

それから三ヶ月後、ジェイムズは、大統領補佐官のピアス・ウォルポールの部屋に居た。
テーブルを挟み補佐官はジェイムズをいぶかしげに見た。しかし、その眼には愛情がはっきりと見えた。

「どうした、ジェイムズ?」

少々の沈黙が部屋をつつむ。

「補佐官、私は、CIAに復帰します」

「なぜだ?」

「はい。二人の部下を失って、自分だけ生き延びようなんて私には出来ません」

補佐官はため息をついた。

再度の沈黙が訪れた。

「それでいいのか、ジェイムズ?」

「はい!」

「解った。今日付けで、CIAロシア局チーフ職を担ってもらう」

「補佐官、ありがとうごます…」

二人は手を差し伸べ握手を交わした。


建物を出ると、ジェイムズは、ボブ・スパンとディーノ・クーリッジの墓に向かった。
墓の前で誓った。

”お前達の命を無駄死ににはしないからな…すまなかった…”

夕焼けの空にジェイムズの頬には涙がつたっていた。